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2026-07-14-Tue ハーモニー

_ [日常] 伊藤計劃の

ハーモニー、読了。

いや、これ、凄く好きだ。

ネタバレ感想になるけれど。

 

 

 

あの世界では最後に「意識」を喪失、つまり「個」を喪失し、それぞれが全体の為に生きる世界となった。それは個が全体の為にそれぞれの「役割」を全うするだけの社会と言うことだ。意識を持たない細胞や器官が人間を作り上げているのに似ている。

そうすると、意識のない個が作り上げた社会とは、どのようなものになるのだろうか。無意識が集合した意識を持つのだろうか。それとも無のまま全体最適の生存本能を持つのだろうか。伊藤計劃がハーモニーで描く未来は後者であるように思う。それはきっとアイロニーなのだろうけれど。

元々意識を持たない民族だったミァハが、性的に虐待される中で意識を得る。そのミァハは個を差出す社会に疑念を感じながらも、世界中から意識を消す社会にするべく行動を起こす。一見復讐のように見えるそれはそうではなく、社会とは何なのだろうという問い、そして皆の幸せを追求するとこうなるんだよ、といった人工進化の後押しだったのだと思う。 読んでいる途中では、これはエヴァの人類補完計画だと思った。でも、エヴァのそれは個の意識を壁を無くしてシェアさせるものであり、ガンダムで言えば全員がニュータイプになるようなものだ。黙っていても相手がわかり、相手も自分を理解できる世界。それが人類補完計画だった。集団意識の共同体だけれど、個の意識は消えていない。 だがハーモニーの世界はその意識が無い。個は社会システムの一部でしかない。感情のような表現すらもシステムの一部だ。もはやユートピアとかディストピアとかすら意味がない。 このような発想は自分の中には無かったので、非常に興味深い作品だった。