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2020-06-04-Thu サスセッティング

_ [バイク][レース] サスセッティングは

難しいと言われます。確かにそうかもしれません。

ワタシも、CB900Fレーサー号では長い間悩みました。

ただ、理論的に考え、それを試すようにすると、解決へのストーリーは導かれるように思います。

ワタシが考えるサスセッティングについて、ツラツラと書いてみます。

 

例題として、フロントの接地感が感じられない場合を考えてみます。

まず、接地感とは何か?

これについては、ヤングマシンのWebサイトに連載されている、元ブリヂストンの山田さんのコラムが非常に面白いので、是非ご一読ください。

山田宏の[タイヤで語るバイクとレース]Vol.12「接地感って、なんですか?」  

ここでは、接地感とはグリップ感である、と定義します。

最終的に路面と接しているのはタイヤなので、まずはタイヤの物理的なグリップ力を考えます。

グリップ力を摩擦力と捉えると、それは摩擦係数 x 荷重です。

 

タイヤそのものを考えます。

タイヤによって摩擦係数(μ)は違います。しかし、タイヤ(コンパウンド)のμの大小とグリップ感の大小の間には、一次関数的な相関関係は無いように思います。

理論をうまく説明できませんが、ケーシングが硬いタイヤは、概して情報がわかりにくい(タイヤの声が小さい)ように感じることが多い気がします。

このように、タイヤの要因を考え始めると未知の要因により複雑になり過ぎるため、ここではタイヤは除外します。

 

すると、グリップ力とは荷重です。すなわち、接地感とは荷重(=サスの反発力)です。

荷重が足りないと反力も足りず、接地感が不足します。

ならばなぜ荷重が足りないのか?

 

 

1)車体姿勢が悪い

・前下がりすぎ…フロント過荷重でそれ以上荷重を掛けられない

・前上がりすぎ…フロント分担荷重不足

・車高が低く前後のピッチングが少ない…ピッチングによる加速度が足りず、荷重が乗せにくい

 

2)荷重が掛けられないサス設定

・プリロード不足で初期に入りすぎるため、ライダーが無意識に荷重を掛けないようにしてしまう

・バネレートが低すぎるため、フロントが入り過ぎてそれ以上荷重を掛けられない

・バネレートが高すぎるため、フロントストロークが途中で止まり、車体姿勢が前上がりとなり、分担荷重が不足する

 

3)ライディングポジションが悪く、前後サスに荷重を掛け辛い

・着座位置、グリップ位置、ステップ位置の三角関係が崩れていると、サスをうまく動かせない(荷重コントロールが出来ない)

 

一般化して考えると上記のようになると思います。

 

乱暴に言うと、前後問わず接地感が感じにくい場合は、まずはプリロードを掛けてみるとよいと思います。

プリロードが足りないと無効ストロークが増え、荷重が少ないのにサスが入ってしまうため、ライダーは不安感を感じ、それ以上荷重を掛けられなくなります。

更に乱暴に言うと、フワフワした物を押そうとしても手応えが少ないので恐る恐る押すことになってしまい、それ以上押せなくなる、という感じです。

 

また、フロントの原因はリアにある(その逆も)、ということもあります。

ブレーキングの時にフロントはしっかり踏ん張っているのに、リアの伸びが弱く、リアから押されない。よってフロントに荷重が掛け辛い、という状態です。これの対策としては、やっぱりリアのプリロードを掛けること、になります。リアの伸び側減衰を弱めることでも、同様な効果は期待できます。

 

あとは味付けの話になりますが、圧側の減衰を掛けると、ストロークするときの抵抗となるので、手応え=接地感を感じやすくなります。

ただあくまでも味付けレベルにしないと、手応えを物理的な反力と勘違いし、実際には反力が足りない=グリップが足りないままコーナーリングすることになり、転倒に繋がることがあるので要注意です。(ワタシはそれにハマり、長い間悩みました)

 

先日のHSR九州でのレース(Roots of 80's)を見ていて思ったのは、フロントブレーキをしっかり使えておらず、フロントの荷重が不足し、フロントをうまく使えていないライダーが多いな、ということです。

その原因としては上記の通りですが、多そうだったのは、

・フロントフォークのバネレートが足りず、ストロークしすぎるため、ブレーキを掛けきれない

・動的な車体姿勢が前のめり(前のバネが柔らかいことも寄与している)のため、つんのめり感があり、ブレーキを掛けきれない

という印象でした。

 

また、間違えやすいポイントとして、オイルロック領域があります。

フロントフォークには、ストロークの最後の20mm前後において圧側減衰を急激に立ち上げ、底付き(メタルロック=インナーチューブとアウターチューブが当たる)を防止するオイルロックピースというモノが付いています。

よって、フルブレーキングで残ストロークが10mmだからいい感じだ!と思っていても、実際にはすぐにストロークを使い切っており、オイルロック領域で持ちこたえている場合もあります。

自分のフロントフォークについては、フルストローク位値を把握するのは当然として、オイルロック領域も確認することが大切です。

実質的にはオイルロック領域はセッティングには使えないことが多いので、オイルロックピースを加工して短縮し、有効ストロークを増やすことも多く行われます。

 

最後に、ライダーの要因も、もちろんあります。調子が悪いときに多くあるのが、体が動いておらず、サスをうまく使えていない状態。特に頭の位置の影響は大きいので、調子が悪いときは、意識して頭の位置を変えてみる(動かしてみる)と良いかもしれません。

 

以上が、自分が考えたり体験したりしたことのまとめです。

迷えるライダーのヒントになれば幸いです。

 

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